編集長のズボラ料理(787) 豚肉のソテー・ニンジンとミカンソース
お隣さんにミカンを1箱もらった。実家に帰った際、段ボール箱4つに入れて持ち帰ったという。
これはありがたい。どんどん食べた。それでも、たくさんあるから、料理に使ってみようと考えた。
思いついたのは酢豚だった。パイナップルを使ったものもある。京都市の中華料理店「鳳舞楼」に行くと、「白い酢豚」が人気メニューの1つで、パイナップルのほか、ライチまで入っていた。豚肉とフルーツの相性はいいのだろう。
しかし、酢豚ではありきたりで芸がない。そこでソテーにした。同じようなものではないか、と思う人がいるかもしれないが、酢豚が中華料理なのに対し、ソテーは洋風のイメージがあり、この差でズボラ料理の面目は何とか保てる。
豚カツやソテー用の豚肉を用意する。コショウをふり、塩麹をまぶしてしばらくおく。ミカンは皮をむき、中の薄皮も適当に取る、ニンジンはすりおろす。2つを混ぜ、ミカンはつぶす。
フライパンにオリーズオイルをひいて熱し、豚肉の両面に焼き目をつける。白ワイン、ニンジン・ミカンをソースとして加え、豚肉にからませながら焼く。皿に豚肉を乗せ、ソースをかける。
ここまで書いてきたが、大きなうそがある。実はもらったのはミカンではなく、ハッサクだった。お隣さんは夫婦2人暮らしで、奥さんはハッサクを全く食べないという。そこで、うちに1箱回ってきた。さらに、近くの別の家にも、段ボール1箱を渡していた。
ハッサクは酸味が魅力でもあるが、そのためにバクバクは食べられない。「どんどん食べた」というのも、本当は正しくない。根性を出す、という意味では「どんどん」ではあるが、実は減るスピードが遅い。スピードアップのためにソテーにもしたのが、偽らずところだ。ところが酸味からくる苦みがあり、ちょっと気になった。そこで、駄文では無難なミカンに変えてみた。
ハッサクはミカンの一種なので、許容範囲と判断した。自分には甘く、他人には苦く酸っぱいズボラの得意技である。
もう1つ、小さなうそがある。ハッサクは実が大きいので、薄皮をむく数は少なくすむ。ミカンはもっと小さいの、面倒くさい。このことをごまかすために「中の薄皮も適当に取る」とズルをした。
お隣さんが「もう1箱あげよか」と言ってきた。それは食べきれないので断った。次に豚肉のソテーをする時には、面倒でもミカンを使うかもしれないが、それはお隣さんには言えないし。(梶川伸)2025.02.25
更新日時 2025/02/25