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編集長のズボラ料理(494) ハムのズッキーニ巻き

少し焦げ目がつくくらいがいい

 娘はキュウリが嫌いだ。ズッキーニは見た目、キュウリと似ている。だからズッキーニも食べようとしない。
 「ズッキーニはカボチャの一種やで」。何度そう言っても、キュウリに見えるらしい。カボチャは好きで、特にカボチャのスープが好みで、遊びに来ると作れと言う。勝手なもんである.
 でも、人生いろいろと同じように、カボチャだっていろいろな形がある。シンデレレが乗っているカボチャの馬車型ばかりではない。ヒョウタン型あればラグビー型やらつづみ型だってある。だからといって、ヒョウタン味やラグビー味がするわけではにない。同じように、キュウリ型をしたズッキーニが、キュウリ味だというわけではない。
 色だっていろいろだ。緑ばかりではない。オレンジ色もあれば、ピーナツ色もある。キュウリだって白もある。要は見た目で好き嫌いを決めてはいけない。
 シンデレラもたまには、ピーナツ型やキュウリ型の馬車に乗ってみたいに違いない。娘が遊びに来たら、「見た目で決めてはいけない」と言ってやろう。子どものころは、「シンデレラはもう死んでれら」などと言っていたが、そんなギャグにはごまかされないようにしよう。
 しかしながら、見た目は大事だ。本物ではなくても、本物に見せかけて大成功したのはカニかまぼこだ。テレビを見ていたら、東南アジアのある国では、スーパーにカニかまの広いコーナーがあって、何十種類も売っていた。
 大阪府豊中市の和食の店「桜会(さくらえ)」で昼のコースを食べたことがある。いろいろと手の込んだ料理が出てきたが、1番おもしろいと思ったのはミニチュアのスイカだった。本物のスイカではない。メンタイコをゼリーに閉じ込めてスイカに見立てたものだった。皮の部分は小さなメロンの皮を使っていた。そんな手の込んだ技なので、こうなると見かけの問題を超えている。
 僕も真似したことがる。問題はゼリー部分ではなく、皮だった。これがないと、スイカに見ない。それがなかったので、カットスイカにしたが、見た目は何のことやら。切らずに、型のままテーブルに乗せて、「血の池」と言われるよりはましだったが。
 ズッキーニをピーラーなどで薄く切る。ラップを敷いて、その上にズッキーニを少しずつ重ねながら並べ、軽く塩をふる。その上にハムを並べ、巻きずしのように巻き、ラップは外す。フライパンにバターをひき、ズッキーニに軽くコショウをふって焼く。
 キュウリだって同じようにできる。でも、キュウリのようでキュウリでない、ベンベンである。(梶川伸)2021.03.31

更新日時 2021/03/31


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