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編集長のズボラ料理(474) チンゲンサイと合いびきミンチの炒め物

チンゲンサイはシャキシャキ感が残るように

 チンゲンサイは響きがユーモラスだ。「チン」という音が入っているからだろう。つい、「珍」という漢字を連想してしまう。
 ところが漢字で書くと、青梗菜となる。青の印象はいい。青春、青年は初々しい。青空は清々しい。青紅葉は爽やかだ。青が入っているだけで雰囲気がいいと感じる。
 キキョウも漢字で桔梗と書く。これもイメージがいい。花の涼やかな思い出すからだに違いない。
 京都府亀岡市に谷性寺はキキョウの寺として知られる。境内に明智光秀の首塚があり、光秀の家紋のキキョウを植えている。それを見た瀬戸内寂聴さんは「紫の涼線」と表現したとという。だから、「梗」も、いい感じなのである。
 そうなると、青梗菜は青も梗も入っているから、最強に好感度野菜ということになる。菜は、菜っ葉のことだから、付け出しなので、この際、ほっておく。でも。
 脳梗塞(のうこうそく)がある。これは困ったものだ。漢字はアルファベットのような音(表音文字)ではなく、意味を持ち(表意文字)、印象を振りまくから、おもしろいがやっかいだという二面性がある。
 中華料理屋さんに行くと、青菜炒めというメニューを見る。メーンの料理ではないが、おいしそうに思える。グループで行っていくつかの料理を頼む時には、その中に加えたくなる。
 青菜という野菜があるかといえば、そうではなくて、青い葉野菜のことらしい。ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ・豆苗・ターツァイと、何でもいいようだ。そんなザクッとした縛りだが、それでも注文したくなるのは、青という字のせいだろう。
 クウシンサイも青菜炒めになる。しかし、僕はどうも気が進まない。漢字では空芯菜と書くが、「シンサイ」の音が「震災」に通じて、ブレーキがかかってしまう。食べよう思ったとたん、「青菜に塩」状態になってしまう。
 チンゲンサイに戻ると、葉の緑、茎の薄い緑の組み合わせが優しい。青春のような色だお感じる。緑と黒のようなどぎつさはなく、鬼を退治する必要もないので、優しくていいのだ。
 チンゲンサイは茎と葉に分けてざく切りにする。フライパンに油をひいて火をつけ、ニンニクスライス少々を入れて香りをつける。ニンニクを取り出した後、合いびきミンチとチンゲンサイの茎を炒める。鶏ガラスープの素、砂糖、酒、しょうゆで味をつける。最後に葉の部分も入れ、オイスターソースも加えて、さらに少し炒める。
 うちの花壇で、パンジーを育てているが、なぜかチンパンジーを連想してしまう。珍しい種類でなくても、「珍」を感じてしまう。これもチンゲンサイに通じるものがある。(梶川伸)2021.01.18

更新日時 2021/01/18


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