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編集長のズボラ料理(467) ホタテのパスタ

大葉は彩り

 貝柱といえば、ホタテ貝となる。ただ、貝柱だけを食べるわけではない。全部食べる。ホタテ貝のバター焼きがそうだ。
 冬の釧路に行ったことがある。夜は炉ばた焼き発祥の店とされる「炉ばた」に行った。古めかしい店だった。おばあちゃんが大きな炉の前に座り、1人で黙々と焼いていた。
 注文したのは、イカのはらわたを巻いたイカのルイベ、ウニの刺し身、ヤナギバカレイの焼き物。通常は食べることのないものを中心に選んだ。その中に、ホタテの焼き物も加えた。
 定番ではあるが、北海道に行けば、ホタテかカニかイクラは食べなければ、恰好がつかない。しかし、カニは高い。そこで、炉ばたではホタテに落ち着く。ついでに、見栄を張ってウニもささやかに食べた。
 では、イクラはどうなったのか。ホテルの朝食はバイキング方式で、イクラもあることを知っていた。山盛りで用意されていた。遠慮してはいけない。イクラ丼にしてガバガバ食べた。もちろん、お代わりもして。
 自宅でも、丸ごとのホタテを使う。ただし、生ではなく、ゆでたもの。しかも小さなベビーホタテ。これなら安い。サトイモと一緒に煮る。だしや味付けに使っても、懐が痛むわけではない。
 貝柱の外側も使う。干したものをヒモと言うが、これを大根と一緒に煮る。だしが出るし、安いからためらいなく使う。
 干したものは、ヒモにとどめるべきだ。貝柱部分を干したものは、中華料理の高級食材だから、安易に手を出すと、懐が痛む。せいぜい、旅の列車の中でビールを飲む際に、つまみとしてキオスクで売っているものに抑えるべきだろう。小さなものが3つか4つか入っているだけだから、何とかなる。
 そうでなければ、中国旅行に行く友人にすり寄っておくことだ。それとなくXO醤(じゃん)をお土産にねだる。味の中心は干した貝柱。うまく作戦に引っかかれば、味だらけの調味料が届く。
 今回は生の大きなホタテの貝柱を奮発する。パスタをだしの素を入れてゆでる。フライパンにバターをひき、塩、コショウを振った貝柱を軽く焼く。同時に細いアスパラ、カットしたマッシュルームも炒め、さらにパスタのゆで汁を少し入れ、白だしも加え、少し煮るようにしながら、フライパンの中でパスタを具と和える。皿に盛り、大葉の千切りを振る。
 高松市に住んでいるころ、貝柱と言えばタイラギだった。遍路で愛媛県に行くと、ヒオウギ貝も食べることがある。しかし、パスタにはホタテがいい。ただ、北海道にまた行くことがあれば、刺し身でガバガバ食べたい。(梶川伸)2020.12.22

更新日時 2020/12/22


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