編集長のズボラ料理(455) カブとサーモンのなます
スイカは親切な食べ物だ。皮をむかないで切って食べるが、赤い実と皮の境目がはっきりしていて、誤って皮を食べることはない。
しかも皮は二重構造で、白い部分と1番外側の緑の部分に分かれている。緑は固くて食べられないが、白はおいしくないだけで、食べられなくはない。つまり、ガツガツと食べ進んだ時に、緑が迫っていることを知らせてくれる。信号機の黄色の役割を果たしている。
気になるのは、白が皮の延長なのか、実のえんちょうなのか、ということだ。あるいは白い部分として独立して発生しているのか。おふくろは白をぬか漬けにしていたから、そのまま食べる赤、食べてはいけない緑、ひと手間加えて食べる白の3部好構成説を取っていたに違いない。
野菜となると、皮も食べるものもあるが、多くの場合、皮をむいてから調理する。例えばサトイモ。土がついていて、ひげがある茶色い皮を取り除く必要がある。包丁で切り取るのは面倒くさいが、皮を間違えることはないし、一部取り忘れていたとしても目立つから、決して残すことはない。それは皮と実では色が違うからだ。
色が同じ場合は、ちょっと困る。例えば大根。外も白、中も白。仕方がないから、適当な厚みで切ることにしている。少々皮が残っても、何とかなる。
カブはやっかいだ。皮は固いから、何ともならない。だから必ず切り取る。ところが、これも白と白のうえ、どこまで除けばいのかわかりづらい。つまり、どこまでが固い部分かはっきりしない。
切り取り線のような点線めいたものがあるにはあり、それを目安にするが、線がはっきりしていない。点線でも実践でもどちらでもいいから、くっきり示してほしい。
筋が口に残らないよう、厚めに皮を取るようにしている。絵本になるような大きなカブなら、それもいいかもしれないが、小さなカブだったらどうするのだ。
カブの皮を取り除き、薄切りにする。刺し身用のサーモンをカブの大きさに合わせて切り、カブではさんでサンドイッチにする。酢、砂糖、塩、白だしを混ぜて、それに漬けておく。
カブは好きだが、もう少し消費者の立場を考えて育ってほしい。不親切な食べ物だと思う。(梶川伸)2020.11.15
更新日時 2020/11/15