編集長のズボラ料理(694) 冷凍シイタケと豚肉の煮物
娘が最近、よくやってくる。僕ら夫婦がいい年になってきたから、終活の手伝いだそうで、言い分はこうだ。
「私もいい年になった。動けるうちに、整理しておく。捨てるものは捨てる。死んでからの整理は大変だから」
ありがたいことだが、整理の仕方が徹底しているので困る。勝手に基準を設けていて、通告してからドンドン捨てる。まず食器棚。基準は「半年以上使っていないものは、これからも使わない」「同じ様なセットは1つにする」
日常使いせずに、お客さん用にしまっているものもあるが、最近お客さんが来たのは1年近く前。基準を満たさないものも多い。それでも存続を願うのだが、ミニマミストを目指したがるような娘だから、全く容赦ない。全体の3分の1は、お払い箱になってしまった。すっきりはしたが。
次は本箱。やや基準は緩和され、「1年以上手にしていないものは、今後も見ない」となった。読んだ本をもう1度見る事は滅多にない。「資料として大事だから」と粘っても、「もう文章を書くこともないのに」と言い放って受け付けない。4分の3はさよならすることになった。おかげで本箱が1つ空にになって、部屋が広くなったが。
本には例外があった。僕が一部を書いた本や、寄稿した雑誌などだ。また僕が取材されたり、取り上げらた本もある。これらは葬式の時に並べたり、手を合わせに来た人に持って帰ってもらったりするかもしれないかららしい。おかげで、僕の部分には付箋を張らされてしまった。
次は冷蔵庫。これは基準は緩く、賞味期限、消費期限を過ぎているものだけ。これなら安心、と思ったのだが、案外あるもんだ。おかげで、冷蔵庫の中の見通しはよくなったが。
冷凍庫は娘との合議制になった。パックやケースに入った物は期限が表示してあるので、基準に従った。ただ、かさばるの嫌って、中身だけをジップロックに入れたものもある。野菜もジップロックで眠っている。これらは期限がわからないので、相談制になった。
1番もめたのは、シイタケだった。僕はシイタケを買って量が多い時は、半分くらいを冷凍する、それを繰り返すと、冷凍シイタケが増えていく。娘は「いったん全部捨てる」と主張した。僕は「どんどん使うから」と抵抗し、何とか粘り勝ちした。さあ使わなければ。
冷凍シイタケは煮物に良い。生シイタケと干しシイタケの中間くらいの食感となるからだ
鍋にだしを取り、冷凍シイタケを煮る。味つけはだしの素、砂糖、みりん。少し煮込んで柔らかくなったら、しょうゆを加えて煮て、煮汁がヒタヒタ程度になったら豚肉を加えてにさらに煮る。
整理はまだまだ続く。今のペースだと、死ぬまでかもしれない。(梶川伸)2-34.10.31
更新日時 2023/10/31