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編集長のズボラ料理(515) キュウリと新ショウガの浅漬け

切りこみは注意しながら、中心あたりまで

 娘は昔、よくかぜをひいた。だいたい年2回。12月の初めと2月ごろが多かった。
 かぜを本格的にひいた時は、薬を飲んだり、医者に行ったりする。ただ、かぜ気味やひき初めの時期には、人によって別々の注意の仕方、直し方がある。
 僕の場合は、まず酒を飲む。次に風呂に入る。最後は厚着をして布団にくるまって寝る。つまり、体を暖める。布団の中で汗をかき、2回着替えれば、朝には完治している。
 着替えが1回だと、どうも中途半端だ。その場合には次の日、同じ治療法で酒の量を増やす。着替え0回だと、さらに酒の量を増やす必要があるのだろうが、飲みすぎてはいけないので、仕方なく医者に行く。
 娘はオーソドックスに、かぜ薬と医者に頼った。人間は個性がある方がおもしろいと思う方だが、その意味では特徴がないと感じていた。ところが……。
 かぜをひいたからと言って、ショウガ湯を飲み始めた。粉末を湯で溶いて。僕も子どものころ、おふくろに飲ませれた記憶がある。かぜには効くのだろう。
 娘のクズ湯は、かぜをひくたびに商品が変わった。ついに、個性が出てきたのだ。クズにショウガを加えたもの、奈良の人気店「天極堂」の商品や、九州の会社のものなど、バラエティーに富んでいた。
 粉末が何パックかセットになっている。使い切らないうちにかぜは治り、ショウガ湯の素はたまっていく。もったいないないから、僕が飲んでいた。しかし、番茶としょうゆとショウガを混ぜたものだけは、手に負えなかった。まずい。ショウガに対する愛がなければ、口にはできない代物だった。
 やがて娘は、ショウガ湯は友人にもらったのだと言い始めた。しばらくして、友人を家に連れてきた。また、しばらくして、結婚した。ショウガ湯の力の大きさを知った。。
 京都市の漬け物屋「もり」から、中元の申し込み用紙と商品カタログが届いた。ここの漬け物が好きな親類がいて、時々送るからだろう。今回のズボラ料理は、カタログを見て、まねをしてみた。
 キュウリを3等分する。それぞれ1カ所、包丁で縦に切れ目を入れる。切れ目のすぐ横からも切り込んでくさび形にし、その部分のキュウリを薄く切り取る。新ショウガを薄く切り、それをキュウリのくさび部分に差し込み、浅漬けの素で漬ける。
 今回は親類に漬け物を送らなかったが、標品カタログは役に立った。また、歳暮のの時期に、新商品の入ったカタログをお願いします。(梶川伸)2021.07.06.21

更新日時 2021/06/21


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