編集長のズボラ料理(511) 新ショウガとシメジのつくだ煮
高知県は食べ物の豊かな場所だ。遍路で行くと、食事が楽しみになる。。
カツオのたたき、キンメダイ丼、ノレソレ、清水サバ、ウツボのタタキ、フカの湯ざらし。太平洋が広がり、海のものは豊富だからうれしくなる。
皿鉢料理もある。海のものを中心に、すしやようかんも一緒に大きな皿に盛ってある。それをみんなで食べる。
最初の遍路で泊まった遍路宿(民宿)では、僕だけの1人用の皿鉢料理が出てきて驚いた。驚きはそれだけではない。皿にはすしも主役クラスで入っているのだが、おひつも運ばれてきた。皿のたたきを白ご飯で食べているうちはいいのだが、すしが残っていき、最後はすしをおかずにご飯を食べるということになる。
さらに驚いたことがあった。その晩は、僕以外にもグループ参拝の客が泊まっていた。宿の主人はごきげんで、地元のジョン万次郎をテーマにした歌をカラオケで歌い出したのだ。それにつられてグループ参拝の人が歌い出し、ついには僕も引き込まれ、グループのおばちゃんと「銀座の恋の物語」をデュエットさせられることになった。遍路に行っているのか、カラオケ喫茶に行っているのか、こんがらかってしまった。
高知は海のもの以外にも、食欲をそそるものがたくさんある。土佐の赤牛、ブランド鶏肉のトサジロー。果物ではブンタン、野菜ではトマト。
遍路旅の先達(案内人)をしている時、高知市春野町のカフェを昼食場所に選んだことがある。サラダバーがあって、5種類ほどのトマトも食べ放題だったからだ。
店は驚いたことだろう。大阪からの団体遍路など、初めてだったに違いない。しかも、トマトを食べるわ食べるわ。順次の追加してくれるのだが、次第に種類が少なくなった。一部のトマトが品切れになったからだ。
ショウガの生産量も日本1を誇る。これ食べてみたい。
高知城近くの日曜市に行く。サツマイモの天ぷら(イモ天)を食べながら店をのぞく。酒盗、ナスの葉と一緒に漬け込んだたくわんなどを見ていると、「赤ショウガ売りよるきに、食べてみん?」と高知弁で呼びかけられる。「こじゃんと、うまい」と追い打ちをされて、重いのに買うはめになった。
新ショウガを薄く切る。ブナシメジは石づきを切り取り、バラバラにする。だしの素、砂糖、酒、みりん、しょうゆで煮て、水分がなくなるまで煮詰める。
高知の日曜市では、すったショウガの瓶詰めも買ったことがある。これも重いのに。遍路をしているのに、煩悩の塊である。でも、「煩悩があるから歩くんです」と言うお遍路さんもいる。ちょっとニュアンスが違うかなあ。(梶川伸)2021.06.05
更新日時 2021/06/05