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編集長のズボラ料理(506) ホタルイカのマカロニ

ホタルイカのみそが出るようにし、その味を利用して炒める

 春になると、スーパーでホタルイカを買う。もちろん、ゆでたもの。1パック300円~400円だから意外と安い。だから、買う。
 安さに慣れると恐ろしい。少し大きめでプリプリしたものは500円ほどするが、見るからにおいしそうに見える。でも、買わない。100円くらいの差なのに、安さ慣れして、手がピクリとも動かない。ところが……。
 取材で富山県滑川市に行った時だった。立山連峰には雪がまだまだ残っていた。取材をすませ、後は大阪に帰るだけで、時間に余裕がある。天気はいい。さて、何をするか。
 滑川と言えばホタルイカの本場。ホタルイカミュージアムを訪ねることにした。天気の良さは、全く関係がなかった。
 呼び物のホタルイカの発光ショーを見た。部屋を真っ暗にする。ホタルイカは水槽の網の中に入っていて、網のロープを引くと、刺激に反応して光る。目、皮膚、体全体の3種類の発光の仕方があるらしい。光を使った映像もあり、なかなか面白かった。
 建物の中にレストランがあった。天気はいいし、時間もあり。当然のごとく入って、ホタルイカ御膳を注文した。刺し身、沖漬け、ゆでたもの、天ぷらが出て満足した。
 値段は当時1800円。高い。高すぎる。スーパーのホタルイカケチケチ作戦の僕はそう思うのが正常の反応だが、何のためらいもなくい支払うので、全く一貫性がない。しかも、入館料に800円を支払った後。そんなにホタルイカが好きなら、スーパーのプリプリ500円を買えばいいじゃないか。我ながら矛盾に満ちた人生を生きている。
 ホタルイカは小さい。そのため、料理する際に2つの大きな問題に直面する。目を取るかかどうか。胴の中の軟骨をとるかどうか。2つとも面倒なことこのうえない。ズボラ料理ならパスするのが本来のスタイルだが、今回はホタルイカ好きの本性が出て、2つとも実行した。
 ゆでたホタルイカを買ってきて、2つの処理をし、胴と足を切り離す。マカロニを塩を加えた湯でゆでた後、水分を切る。フライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクのスライスとショウガの千切りを加えて熱する。ニンニクとショウガを取り除き、ホタルイカとマカロニを炒める。最後にしょうゆを振り、サッと炒める。
 春らしい季節感があり、しかも安上がりメニュー。いつか1パック500円のものを使おうと思っているが、実現する前に今年も春が終わっていく。(梶川伸)2021.05.19

更新日時 2021/05/19


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