編集長のズボラ料理(488) ナガイモの揚げギョウザ
遍路仲間が月1回、新大阪駅のリーゾナブルな店「小麦ランド」で反省会を開く。新型コロナウイルスのせいで、ごぶさたの時期もあったが。
小麦だからうどん屋さんかと思うかもしれないが、そうではない。小麦+ランドという洋風な名前だから、パスタの店と思うかもしれないが、そうでもない。中華の店だから、初めて行った人は戸惑う。
平均年齢が75歳くらいの仲間で、長い人生には反省も多い。だから月に1回くらい反省しよう、という名目の飲み会となっている。
席につくと、まず最年長の会長の音頭で、「乾杯」の代わりに「反省」と言ってビールのグラスを合わせる。最後は会長の「今日も楽しかったね」で終わる。
食べ物に関しては、まずギョウザを注文する。これはしきたりとなっている。しかも、計算されたルールがある。1人あたり2個が原則。その方程式で参加人数によって、何人前にするかを決める。運ばれてくると、全員が2個ずつ取り、残りはけんかありの早いもん順となる。
ほかはそれぞれが好きなもの頼み、みんなで分け合う。余ればギョウザと同じように、けんかありの早いもん順となる。つまり、ギョウザは中華のリードオフマンと言ってよい。
珉珉や王将では、ギョウザはもっと重要な地位を占める。メニューの中で主役か準主役級だろう。その割には、値段も安いから、ためらわずに注文できるし、適当に頼んで、適当に食べることができる。小麦ランドの厳格なルールは当てはまらない。
以前、知り合いグループを、大阪府河内長野市の岩湧山寺に案内したことがある。寺とその周辺にシュウカイドウが一面にはえていていて、それを見てもらうためだった。全員で7人か8人だった。
山から下りてきて、ビールでのどをうるおすことになった。そんな時、大箱の王将がいい。予約なしでも気軽に入れるし、大人数がテーブルを囲むことができる。まず注文したのは、ギョウザ10人前だった。
参加者の中にはお金持ちも、なかなかの肩書きの人もいた。しかし、ギョウザの前では通用しない。それもギョウザの良い点だろう。
たまには違ったギョウザを作ることにした。ネットリ系のナガイモを買ってくる。僕が気に入っているのは、青森の「ねっとりナガイモ」。それをすりおろし、色が変わらないようにほんの少し酢を垂らして、よくかき混ぜる。ギョウザの皮に切った大葉、梅肉、ナガイモを乗せて包み、油で揚げる。
小麦ランドの反省会は、反省しすぎて後ろ向きすぎるので、前向き名前に変えた。あすなろ会。良い名前ではあるが、「もう遅いわい」との声もある。(梶川伸)2021.03.07
更新日時 2021/03/07