編集長のズボラ料理(466) 鶏焼きのリンゴソース
重なる時には重なるもんだ。リンゴのことである。
ご近所さんの奥さんの実家が青森のリンゴ農家で、毎年リンゴを送ってくるという。そのおすそ分けとして、5つももらった。「少し傷がありますが」と言っていたが、食べるには何ら支障はない。いつもは赤い種類だが、今年は黄色で、「シナノゴールド」だと教えてもらった。所用で外出する時だったので、帰宅してから食べるのを楽しみにしていた。
外出から帰ると、宅配便の不在通知が、ドアにはさんであった。信濃のリンゴだった。毎年秋に、長野県からリンゴが1箱届くのだ。
今年は秋映、ぐんま名月、紅玉、シナノゴールド、シナノピッコロ、シナノスイートの6種類。丁寧に小さな紙に名前を書いて、種類に1つだけ張ってあった。
さて、困った。どちらから食べるか。先着順で青森から。それが順当な選択だろう。しかし、それでは最初はシナノゴールドだけ食べることになる。そこで、考案したのは、複雑な順番である。
まず青森のシナノゴールド。続いて信濃の6種類を1つずつ食べ、また青森に戻る。信濃の方は1種類3個か4個だからだ。これならバラエティーに富む。
1つだけ問題が残る。シナノゴールドが両方にあるではないか。これを引き離して順番を決めなければいけない。面倒くさいことになった。
最初は、考え抜いた順番を守っていたが、すぐに青森も長野も一緒くたになり、青森のシナノゴールドか信濃のシナノゴールドかの区別がつかなくなり、赤いリンゴもどれがどれだか判然としなくなった。それに、ご近所さんや遊びにきた子どもにおすそ分けしたので、順番は滅茶滅茶となった。
鶏肉に塩、コショウをする。フライパンを熱し、油使わず、皮の方から焼く。メドは6~7分。焦げ目が十分についたら、ひっくり返して焼く。火をよく遠すために、途中でふたをして蒸し焼きにし、最後はふたを取って、裏表を再度焼く。食べやすい大きさに切って皿に並べる。フライパンでバター溶かし、おろしリンゴ、薄口しょうゆ(もしくは白だし)、白ワインを入れて熱し、ソースにして鶏にかける。
リンゴがたくさんあったので、ソースに使ってみた。青森だったのか、信濃だったのか、どの種類だったのか。ズボラな料理だから、その点は気にしない。(梶川伸)2020.12.18
更新日時 2020/12/18