編集長のズボラ料理(460) 土手焼き目玉焼き
食べ物は大量に作った方が、概しておいしい。しかし、食べる人数との関数もあり、何でもかんでも大量に作れるわけではない。我が家のように年寄りだけになると、なおさらそうだ。
それでも大量に作るものはある。その代表はカレーだろう。カレーは最初から、夕食だけを想定しているわけではない。朝食は温め直して食べるのは、当然ながら想定内である。
朝からカレー?と思う人がいるかもしれない。しかし、新聞記者現役時代は、朝カレーは大切な気付け薬のようなものだった。
僕には「シャネルの男」という美しいニックネームがあった。よく会社の宿直室で寝るので、「社寝るの男」。
仕事が忙しくて、泊まり込んだことも、あるにはある。しかし多くは、飲みに行って帰宅するのが面倒になり、シャネルを決め込んだ。
二日酔いの朝は、会社近くのカレー屋に行った。僕のような人のために、ちゃんとモーニングカレーがあるのだ、朝食らしく、みそ汁がついているのがみそ。カレーの辛さで二日酔いを吹き飛ばし、みそ汁で朝を確認するのだった。だから、朝カレーはすっかり身について、退職後も当たり前のことになっている。
僕の場合、夜のカレーは朝を過ぎ、昼まで尾をひく。昼は鍋にこびりついているカレーを使う。鍋にご飯を入れて温め、かき混ぜてドライカレー風にする。店では決してできない、家ならでの醍醐味である、
もう一つ、土手焼きは大量に作る。すじ肉とコンニャクをみそでしっかり煮込んだもので、大阪名物といえる。カウンターだけの庶民的な居酒屋さんに行って、土手焼きと紅ショウガの天ぷらを食べないと、「フン、素人が」と鼻であしらわれるほど、大阪のソウルフードと言える。
だから、家でも作る。大量に。これも温め直して、何度か食べる。それに、子どもたちも好きで、遊びに来ると、必ず持って帰るから、量は必要なのだ。。
まず、ズボラ流土手焼きの作り方。すじ肉をゆでて、あくを出す。次はコンニャクと一緒にだしで煮る。砂糖、みりん、酒で味をつけ、皮をむいたニンニク、ショウガの薄切り、少ししょうゆも加える。しばく煮た後、みそを加えてじっくりと煮込む。
ここから本番で、今回は残った土手焼きを使う。フライパンを熱し、土手焼きとネギをフライパンのすみで火を通る。残ったフライパンの部分に軽く油をひき、目玉焼きを作りながら、土手焼きを卵の端に乗せ、味を移す。そのまま皿に移す。
鍋にわずかに土手焼きが残った場合は、当然のことながらご飯を入れて温め、ドライ土手焼きライスにする。(梶川伸)2020.11.29
更新日時 2020/11/29