編集長のズボラ料理(457) ナスのかば焼き
ウナギは迷いを誘うを食べ物だ。第一に、高いのでちゅうちょがある。迷わずに食べるのは、1年で土用の丑(うし)の日だけだろう。何しろ、
これは仕方がない。祝日に匹敵する特別な日だから。江戸時代の平賀源内の提唱というお墨付きがあり、食べるのは国民の義務みたいなものだ。年によっては、土用の丑が2回あるが、これはウナギ業界の陰謀もたいなものだから、どちらか1回で義務は果たせる。
店で食べる時にも迷いはある。うな丼の場合、並みか上か特上かを決めなければいけない。特上は論外としても、並か上か。本当は並で我慢していところだが、声に出して頼まねばならず、隣のテーブルにも客がいたりすると、つい見栄を張って上と言ってしまう。最近の居酒屋さんで、画面で注文する店もあるが、その方式を採用してくれれば別だが。
並んでも食べるべきだろうか。これも迷うところである。慎重に検討すると、値段が2000円代に収まるかどかが境目だという結論に達した。
奈良県天理市のウナギ屋「みしまや」に行ったことがある。人気だと聞いていたので、午後2時半ごろに訪ねた。それでも6組が、順番待ちをしていた。ウーム、やるなあ。
狙いはひつまぶしセットだった。2700円。やっぱり、並んで待つことにした。決め手は値段だった。3000円台後半だったら、もともと高いなあと思っているだろうから、並ぶのを理由にあきらめるに違いない。実際には並んだかいがあった。
名古屋市の熱田神宮にお参りをしたことがある。近くの、ひつまぶしで有名な蓬莱軒があり、ちょっとのぞいてみた。入口に順番待ちの名前を書くテーブルがあった。その横に店の人が立っていた。これは、いかん。きっと高い。前を素通りした。
スーパーなどでウナギを買う時、たれを別に買うかどうか。これも迷う点だ。たれがたくさんあれば、家でうな丼にした時、ウナギが少なくても、ご飯をたくさん食べられる。ただ、たれを買うと、必ず残る。次にウナギを買うまでに、長い月日が経つ。では、どうするか。
ナスは皮をゼブラ状にむく。できれば、らせん状がいい。ナスを縦に切る。厚めがいい。フライパンにクッキングシートを敷き、その上にナスを並べ、上面にウナギのたれをたっぷり塗る。すぐに裏返して反対の面にも塗る。ふたをし蒸し焼きにする。ふたを取って、上面にもう1度塗る。。
目をつむり、ウナギだと信じて食べる。(梶川伸)2020.11.20
更新日時 2020/11/20