編集長のズボラ料理(443) 鶏のから揚げの南蛮漬け
鶏カラ、と言う。鶏のから揚げのことだ。
ジャンカラ、と言う。ジャンボカラオケのことだ。
ビリカラ、と言う。これは、ピリリと辛い、のことだろう。「カラ」は略語にしやすい。
鶏のから揚げは、略語が一般的に使われるほど、人気の食べ物といえる。子どもの弁当では、9割の確率で鶏カラが入っている。これは卵焼きやタコソーセージに匹敵する。
大人の弁当でも、鶏カラが入っている確率は5割を超えるのではないか。少なくとも、タコソーセージよりは高率のはずだ。大人の場合、タコソーセージがウジャウジャ入っていたら、ちょっと恥ずかしいので、鶏カラで代用する。
弁当での確率が子どもよりも落ちた分、大人はビールを飲む際に挽回する。ビアホール「ミュンヘン」で飲むなら、頼むのがしきたりになっている。ミュンヘンと鶏カラは同義語と言ってもいい。
ビアガーデンでも、注文する確率ば高い。中華料理店でも同じ。ビールといえば、鶏カラと枝豆は必需品なのだ。まず、この2品を頼んでおいてから、おもむろにメニューに目を通し、次に注文する料理を考える。次がなかなか決まらなかったら、フライドポテトを追加注文して時間稼ぎをし、じっくりとメニューを読み込む。
外で飲んでばかりで少し後ろめたくなると、ケンタッキーフライドチキンで買う。家族への土産にするふりをして、家に着いたら自分も食べる輪に加わり、ビールの栓を開ける。
そんな魂胆を見破られたら、自分で作るしかない。鶏カラを作る。作り方は家庭によって違うが、僕の場合は、しょうゆ、みりん、酒、おろしたショウガとニンニク、生卵を混ぜ、それに鶏肉を漬けていおく。水気をふき、小麦粉をまぶして、脂で揚げる。
今回はもうひと手間かける。ピーマンは縦半分に切って軽くオーブンで焼き、食べやすい大きさにさらに切る。タマネギはくし切り。しょうゆ、砂糖、みりん、酢、ゴマ油を混ぜ、鶏、ピーマン、タマネギを漬けておく。
揚げるだけの工程だけでもいいのだが、いつもそれでは「またか」と言われる。だから鶏カラ南蛮にしたが、この場合は鶏への味付けはトリあえず、薄くし方がいい。(梶川伸)20.10.06
更新日時 2020/10/06