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豊中運動場100年(32) 神戸一中、圧倒的な強さ 関西学生野球大会、全国大会出場校総なめ 

豊中グラウンド跡地」の銘板がはめこまれている高校野球メモリアルパーク=豊中市玉井町で

 1915(大正4)年8月に開く第1回全国中等学校優勝野球大会(現在の夏の甲子園大会)に向けて、豊中運動場で開催の第3回関西学生連合野球大会が大阪・奈良・和歌山の予選大会となった。阪奈和の8校とそれ以外の8校を別々のブロックとし、準決勝第2試合を阪奈和予選決勝とした。
 和歌山中が明星商業に圧勝、市岡中が不戦勝でともに準決勝に進んだ。一方のブロックでは京都二中と神戸一中が準決勝に駒を進めた。
 準決勝第2試合は和歌山中―市岡中の対戦となる。市岡中が先制したものの、和歌山中が6回表に四球押し出しで2点を挙げて逆転。そのまま逃げ切った和歌山中が勝利を収め、見事に阪奈和代表校の栄誉に輝いた。
 この大会では“珍事”が起きている。
 関西学生連合大会が始まる前に、京津(京都と滋賀)大会と兵庫大会が終了していた。京津の代表校に京都二中、兵庫の代表校に神戸二中が既に決定していた。
 8月11日の準々決勝で神戸一中と対戦することになった神戸二中は、投手と三塁手の故障を理由に棄権を申し出る。「全国大会の兵庫代表校に決まっているのにここで兵庫のチームに負けては権威が失墜する」と思ったようだ。ところが主催者は「スポーツの本分に甚だしくもとる」として認めず。主力選手を欠いた神戸二中は敗れてしまう。
 勢いに乗る神戸一中は翌12日、準決勝第1試合で京津代表校の京都二中と対戦。打線が爆発した神戸一中が圧勝してしまった。
 そして13日の決勝。相手は前日に阪奈和代表校を決めた和歌山中だった。神戸一中の勢いは止まらない。前半こそリードを許したものの、後半に追い上げ8回裏に見事に逆転。和歌山中を破り第3回関西学生連合大会の覇者となった。神戸一中は京津、兵庫、阪奈和の3代表校を倒しての見事な優勝だった。
 ちなみに神戸一中は兵庫大会では準決勝で関西学院に敗れている。皮肉な優勝を決めたナインは「自分たちこそ全国大会出場にふさわしいはずだ」と悔しがったに違いない。(松本泉)2014.09.26

【第3回関西学生連合野球大会】
▽準々決勝(8月9、10、11日)
和歌山中 16―1 明星商業
京都二中  7―1 伊丹中
市岡中 (不戦勝) 大阪工業
神戸一中  3―1 神戸二中
▽準決勝(1)(8月12日)
神戸一中  9―2 京都二中
▽準決勝(2)(阪奈和予選決勝)
和歌山中
  000002000=2
  010000000=1
市岡中
 ▽決勝(8月13日)
和歌山中
  102100000=4
  00200102×=5
神戸一中

第1回全国中等学校優勝野球大会 第3回関西学生連合野球大会

更新日時 2014/09/26


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