編集長のズボラ料理(613) ハクサイと生ハムの重ね煮
生ハムは立食パーティーで食べるものだと思っていた。正確に書くと、立食パーティーでしか食べたことはなかった。
生ハムはカットしたメロンを包むものだと思っていた。立食パーティーでは必ず、これが出てくる。会場で焼く小さなステーキとともに、「立食の華」でもある。
メロンは昔、病気見舞いにもらう以外には、食べることがなかった。いまだに高価である。ある時、阪神百貨店の果物売り場で、1個当たりの値段で1番高いものを調べたことがある。やはりメロンが1番だった。山形のサクランボも1箱では匹敵するが、1個は小さいので、1個あたりで比較するのが無理。熊本の黒スイカは競い合うが、今度は個体が小さいメロンに軍配を上げざるを得なかった。
そんなメロンだから、もらうとうれしいし、もらいたいと思う。先日、北海道に遊びに行った際、北海道に行きたがっている親類に、何が土産にほしいかを聞くと、夕張メロンだった。こちらから聞いた手前、「高すぎる」と言うわけにもいかない。富良野のファーム富田でラベンダー畑を見た後、2個入りを送った。僕はメロンソフトで我慢したのに。
グルメの友人夫婦の案内で、神戸市・三宮の焼き肉店「味楽亭」に行ったことがある。落ち着いた店で、ロース、カルビ、ハラミなどの肉は質が高く、値段も高かった。僕はある理由で「ご招待」扱いだったので、気にせず食べたが。
印象に残ったのは、デザートのメロンのシャーベットだった。皮を活用してメロンシャーベットを乗せ、切ったメロンの形で出てくる。シャーベットはメロンそのものの味がして、高級感があった。友人は「この店で1番高い」と言い。僕としては「ご招待」扱いに、胸をなでおろした。
生ハムも高いイメージがあった。何しろ薄くカットしてある。包丁を使ってその場でカットするような店では、おぼろコンブのような薄さで、ガバガバ食べるなど、もってのほかだった。
ところが、イオンモールなどに輸入食品に店が入ようになると、生ハムは身近なものになった。真空パックの生ハムの切り落としは安く、安売りの日など1パック300円台で手に入る。これで、気兼ねなく食べられるようになった。へばりついている生ハムを1枚ずつはがす手間さえ惜しまなければ。
ハクサイは葉を1枚ずつはがす。生ハムも1枚ずつバラバラにしておく。木の芽(サンショウの葉)は茎を取っておく。大葉は千切り。鍋にハクサイ、生ハムをミルフィーユ状に重ねていき、木の芽、大葉は散らしながらはさむ。鶏ガラスープをヒタヒタに加え、形が崩れないように落としぶたをして煮る、。
生ハムは最近、スーパーでも売っている。こちらは1枚ずつはがしやすいタイプが多い。そちらを買うことが多くなったが、手間がかからないので、ガバガバと食べ過ぎなる恐れがある。(梶川伸)‘2022.07.30
更新日時 2022/07/30