心にしみる一言(372) からすみ用の卵を取った後のボラのから揚げ
◇一言◇
からすみ用の卵を取った後のボラのから揚げ
◇本分◇
知り合いに会うため、10年ほど前に三重県鳥羽市に行った時のことだった。足を伸ばして、答志島に渡ってみた。
船で15分で島の和具港に着いた。九鬼嘉隆の首塚へ。関が原の戦いで西軍に入り、島に帰って自刃したという。胴塚、血洗い池を見て、潮音寺に寄り、最後は島の反対側の答志港へ歩いた。
船を待つ間、変わった名前の店「ロンク食堂」に入り、刺し身定食(1200円)を食べた。メニューがパソコンに残っている。サワラの刺し身7切れ、エビのかき揚げ、ボラのから揚げ、キンギョウオとサメのみりん干し、小イワシの煮付け3匹、ワカメのつくだ煮、アジとエイの南蛮漬け。
「安いね」と店の人に話しかけ、ボラのことに話が及ぶと、上記の言葉となった。ボラはカラスミをつくるための卵を取るのが主目的で、身はいわば残り物。そんな有効利用が、安さにつながっているのだろう。高級な食材はないが、いかにも島らしい定食だった。(梶川伸)2022.04.26
更新日時 2022/04/26