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編集長のズボラ料理(578) 鯛とイカの刺し身、黄身カニみそソース

イカや白身の魚がいいと思う

 「おいしいもの食べに行こう」。この言葉はどうも納得がいかない。。
 おいしいものを食べたいのは、誰でも同じ。でも、食べてみなければ、おいしいかどうか分からない、というのが僕の理論である。
 友人が「おいしいもの食べに行こう」と、僕の方に向かって言うことがある。これは曲者だ。その心は、僕が知っているおいしい店に連れて行け、ということにほかならない。そんな時は、「知らない店に行ってみよう」と答えて逃げる。
 僕の知っている店はほんのわずかで、そんな店はすでに食べに行っている。だから、「知らない店に行こう」と対抗する。
 すると、反発が来て、それにもまた抵抗する。「おいしくなかったら、どうするの」「一か八かでええやないか」
 しばらくやりとりがあり、最後はこうなる。「いい年だから、おいしいものを食べられる回数は限られているのに」「まずかったら、『この店はまずい』という情報を蓄積できて、今後その店に行かなくてもすむ」。結局、おいしくも、まずくもない店に行くことになる。
 遊び仲間で、東北旅行をした。青森空港でレンタカーを借りて、まず昼ご飯に地元のものを食べることになった。青森素人ばかり。店の情報など、だれも持っていない。
 そんな時には、地元の回転ずしに限る。海のある県なら、回転ずしのばくち性は、「一か八か」から「一か四か」ぐらいに低下する。
 入ったのは函太郎。名前から予感はあったが、北海道函館市が本拠の店だった。まあ、ええやないか。大阪から見れば、青森も函館も誤差に範囲だ。僕の好きなスジコもあったし、巻きずしの系統は四角に作ってあったし。
 大阪に帰ってきてすぐ、大阪市・梅田に支店を出した。なんや、ちょっと待てば、青森まで行かなくてもよかったやないか。
 その仲間は、時々旅行に行くため、お金をプールしている。しかし、新型コロナウイルスで行く機会がなくなった。そのお金を使おうと、昨年末に忘年会をした。旅行先候補に日本海があったので、豪勢にカニを食べることにした。
 そこで、箱太郎の教訓を生かした。大阪の店でええやないか。行ったのは大阪市・西道頓堀の五座ふく。食べたのはズワイ蟹(かに)三昧コース。道頓堀のカニなら、ばくち性は「一か三か」まで落ちる。結局は一で大満足。
 今回はそこのカニの食べ方を、参考にした。タイとイカの刺し身を買ってくる。卵の黄身を取り出し、皿に入れる。瓶詰めのカニみそを添える。2つを混ぜ、刺し身をつけて食べる。
 ズボラすぎる料理。これは一も八もない。(梶川伸)2022.02.03

更新日時 2022/02/03


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